試験事例:トマトの促成栽培
試験場所:OATアグリオ(株)栽培研究センター
作物:トマト (品種:桃太郎ピース 、台木:ボランチ)
試験期間:2023/9/29 ~ 2024/7/3
区制:1区17株・3条件・2反復(結果は2反復の平均を示す)
試験条件:
徳島県施肥基準※に基づき、作物の生育に応じて適宜施肥量を調整しながら、慣行の土耕栽培を実施した区(慣行区)に対し、同様の方法で施肥量を30%減らした区(慣行施肥30%減区)、養液土耕システムを用いて施肥量を30%減らした区(養液土耕システム施肥30%減区)の3区を設けた。
試験区名 | 施肥潅水方法 | 施肥量 |
---|---|---|
慣行区 | 元肥+追肥 慣行の施肥潅水方法に準ずる |
徳島県施肥基準に準ずる |
慣行 施肥30%減区 |
元肥+追肥 慣行の施肥潅水方法に準ずる |
徳島県施肥基準より30%削減 |
養液土耕システム 施肥30%減区 |
元肥なし 養液土耕栽培システムにより、 追肥のみをおこなう |
徳島県施肥基準より30%削減 |
※徳島県ホームページ 主要農作物施肥基準について(令和3年)
https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/sangyo/nogyo/7206353/
結果Ⅰ:総施肥量
①慣行施肥30%減区の総施肥量は、慣行区の70.7%であった。
②養液土耕栽培システム施肥30%減区の総施肥量は、慣行区の64.8%であった。
試験区名 | N | P2O5 | K2O | MgO | CaO | NPK合計 | 慣行区比(%) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
慣行区 | 元肥 | 14.8 | 20.6 | 13.7 | 3.2 | 14.1 | 72.0 | - |
追肥 | 11.5 | 0.0 | 11.5 | 0.0 | 0.0 | |||
慣行施肥 30%減区 |
元肥 | 10.3 | 14.4 | 9.6 | 2.2 | 9.9 | 50.9 | 70.7 |
追肥 | 8.3 | 0.0 | 8.3 | 0.0 | 0.0 | |||
養液土耕 システム 施肥 30%減区 |
追肥 | 17.5 | 9.3 | 19.8 | 1.2 | 7.0 | 46.6 | 64.8 |
単位:kg/10 a
2200株/10 aとして計算
結果Ⅱ:可販果総収量
①慣行施肥30%減区の可販果総収量は、慣行区の93.2%であった。
➔慣行栽培方式では、施肥量を約30%減らしたことで、約7%減収した。
②養液土耕栽培システム施肥30%減区の可販果総収量は、慣行区の100.8 %であった。
➔養液土耕栽培システムを用いることで、施肥量を30%以上減らしても、減収しなかった。

試験区 | 総収量(t/10a) | 慣行区比(%) |
---|---|---|
慣行区 | 26.2 | - |
慣行施肥 30%減区 |
24.4 | 93.2 |
養液土耕システム 施肥30%減区 |
26.4 | 100.8 |
2200株/10 aとして計算
まとめと考察:
慣行栽培方式で施肥量を約30%減らすと、約7%減収した。
一方、養液土耕栽培では、施肥量を30%以上減らしても減収せず、慣行区と同等の収量を得た。
➔養液土耕栽培システムを用いた「少量多回数の潅水施肥」により、
慣行区と比較して、より少ない肥料で効率よく作物に養分を与えることができた。
注意:本ページの表中の数字は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、内訳と計は必ずしも一致しない。